雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.4から引用)#2 | |
2.3Lの234Sエンジンを2.5L化。 エアフロレスでスポエボに迫る。 |
|
ハードなエンジンチューンも得意とするアクティブカーズでは、 2.5Lへの排気量アップを中心としたメカチューンによって、 スポエボを上回るさらなるハイパワー化を目指す! |
|
本誌vol.2でも紹介したアクティブカーズのS14エンジンチューニング・プロジェクトの続報をお伝えしよう。エンジン制御系のアップデートや吸排気の効率アップなど、まずは一般ユーザーでも気軽にトライできるメニューを完成させたのだが、実は現在さらなる高みを目指し、2.5L化を中心としたより高度なチューニングを施している。目指すはスポエボを大きく上回る250psオーバーというパワーだけに期待が高まる。 まず今回の仕様で最大の目玉となるのが、大径ピストンの採用による排気量アップだ。ベースとなるのは2.3Lのノーマルエンジンだが、アクティブカーズでは、ニッサンのVQ35用ピストンを採用することでボア径の拡大を図る。ノーマルの2.3Lがボア径¢93.4mm、スポ工ボの2.5Lが¢95.0mmなのに対し、VQ35は¢95.5mmとスポエボよりもやや大径だ。合わせてクランクもスポエボ用に交換するため、排気量はスポエボをわずかに上回るが、ほぼ同じ2.5Lとなる。ただし、VQ35用ピストンは、スポエボ純正ピストンと比べて60g以上軽量となる上に、ショートスカート形状を採用し、サイドには樹脂系のコーティングが施されるなど、より現代的な設計が施されたもの。それゆえ、よりスムーズな吹け上がりが期待できる。 ヘッド関係では、ポートや燃焼室形状の最適化が施されるとともに、シュリック製のハイカムが組み込まれる。今回は、あくまでも街乗りをメインとした仕様となるため、アイドリングがバラつかないギリギリの線を狙って、IN292/EX284という作用角を選択した。ハイカムと合わせて、バルブスプリングとリテーナーもシュリック製の強化品に変更され、特にリテーナーは軽量なチタン製となるため、さらなる高回転化にも対応できる。この他、バルブガイドおよびバルブシートリングは新品に交換された上に、バルブのセット長を合わせるようシートカットを施すなど、細部に至るまで徹底して高効率とフリクションの低減を追求することで、低回転からしっかりとトルクを引き出し、なおかつ高回転まで力強く吹け上がる特性を目指す。 |
|
「E30 M3の可能性にチャレンジ」 | |
排気量アップやハイカムの装着に合わせて、吸排気のポートは最適な形状に加工される。 | |
ポート研磨は大幅な径の拡大というよりも、スムーズに吸排気が流れる形状と表面の仕上げを整えるのが目的だ。 | |
ハイカムと合わせて、シュリック製の強化パルプスプリングとチタン・リテーナ一に変更。重量はノーマルの76.2gから約15g軽量化される。 | |
シリンダーブロックはノーマルをベースに、VQ35用ピストンに合わせてボーリングが行われる。ただし、スポエボ用のブロックも、ピストンクーラーが装着される以外は、基本的にノーマルと変わらないようだ。 | |
2.5L化のハイライトとなるユニシアジェックス製のニッサンVQ35エンジン用のピストンは、ピストントップの形状もノーマルよりハイコンプタイプとなる。 | |
ノーマルのマーレー製ピストン(475g)に対して、VQ35用ピストンは394gとかなり軽い。スカートも短い現代的な設計となる。 | |
フリクションロスの低減を狙って、クランクメタルはWPC加工が施される。写真は上からノーマル使用済み、スポエボ用新品、スポエボ用WPC加工済みのメタルとなる。 | |
シリンダーブロックは、日本には正規では輸入されなかった後期仕様の"234S"品番だ。 シリンダーヘッドの締結は、強大な締め付け力を発生することができるスタッドボルト・タイプに変更される。 |
|
クランクはノーマル(写真上)のストローク84mmよりも3mmロングストロークなスポエボ用(写真下)を使用。 | |
いかにも重たそうで武骨な形状のノーマルクランクに対して、スポエボ用は重量や空力特性なども考慮した形状だ。 | |
VQ35用ピストンは、基本的にノーマルとピンハイトが同じため、コンロッドはノーマルを使用する。 | |
カムはシュリック製のハイカムで、作用角はIN292度/EX284度とアイドリングがバラつかないギリギリの度数に抑える。 | |
コンロッド小端部は少し厚さが異なるため、VQ35用ピストンに合わせた加工が必要だ。 コンロッドは、軽量化と応力の集中を防ぐため、表面は要所に鏡面仕上げが施される。 |
|
雑誌掲載記事メニューへ | ←BACK NEXT→ |