雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.30から引用)#1 | |
アクティブカーズ 整備日誌 | |
「アクティブカーズで整備された車両が本来の調子を取り戻すのは理由がある」 | |
6月某日、アクティブカーズを訪ねると、リフトにはE34M5が上がっていた。それは通常の車検整備で入庫した車両であった。そのE34M5とアクティブカーズの付き合いは、かれこれ6年以上になる。始めは、あるショップで手に入れたE34M5の調子が悪く、エンジンがぜんぜん吹けない症状を尋ねた上でクルマを点検しトラブルシュートをすすめ、DMEから点火プラグ、燃料系に至るまで関係個所をひとつづつ丁寧に調べ、原因をつきとめた。そうして完壁に直してオーナーに手渡した。不調だったエンジンがキレイに気持ちよく吹けるようになって、そのオーナーがアクティブカーズに信頼を置くに至ったのはごく自然な流れであった。ちなみにエンジンの不調の原因は、点火系で、デスビのキャップに問題があったという。 E34M5を販売したショップがたどり着けなかった原因をアクティブカーズの小川氏が探り出し、問題を解決したのは、それはひとえに長年にわたる豊富な経験と知識にもとづく的確な判断にある。前号で本来の調子を落としたE30M3の多くがアクティブカーズで本来の速さを取り戻したという話をしたが、それはE34M5にもあてはまるのだ。やっぱり、E34M5もクルマによって状態はマチマチというのが現状なのである。ただ、E34M5の場合はもとからパワーがあるために、その個体しか知らないオーナーだと少しくらい調子が悪くても分からないのだ。でも小川氏はE34M5本来の状態をよく知っているから、少しの変調も見逃さないのである。 トラブルを解決した一件以降、そのE34M5は車検のつど山梨にやって来るようになった。最初に行った車検整備では、車両に色々と問題があったために大掛かりな整備を実施。これまたオーナーがこんなにも良くなるのかと驚くほど、E34M5は完調な状態となった。それから今回に至るまで調子を維持して良く走り、オーナーを楽しませている。なんでも今ではアクティブカーズにやってくるE34M5の中でも1、2を争う程にエンジンの調子がいいらしい。 今回の車検整備では、以前から分かっていた僅かなガタがあるアウトプットシャフトの0/Hを実施。その他には、ボールジョイントにガタがあった左のロアアームと、同じくガタのあったフロントのスタビロッドも交換。また、メーターのチェックコントロールの表示が出る症状があって、これはメーターとチェックコントロール間のケーブルを調べ問題がなかったことから、最終的にはチェックコントロールのユニットを交換している。オーナーから依頼されたフロントガラスからの雨漏りは、ガラスを貼り直して対処した。あとはお決まりの油脂類の交換というのが今回の主な内容であった。 今回の車検でE34M5が比較的軽度な整備で済んでいるのは、これまでの車検で基本整備を必ずやってきたためである。これが毎回中途半端な整備で済ませていると、ある時、次から次へとトラブルに見舞われて、古いクルマはこれだからなんていう、ありがちなことにもなりかねない。その時々でいかに予防整備をやっておくかということが、古いクルマに乗って行く上で非常に重要な意味を持っているということを覚えておいていただきたい。ちなみに、アクティブカーズでは車検整備の見積もりを最大で幾らというカタチで作っている。それは先々で起こりうることを予防整備として盛りこんだ結果である。最初にその見積もりを見た時は、高いと驚くかもしれないが、必ず話し合いをして整備内容を決めているのでご安心いただきたい。最大の見積もりを作っているのは、オーナーにクルマの状態を知っていただく意味もあるのだから。 |
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1.オーナーがE34M5を手に入れた時は調子が悪く、一時は途方にくれたエンジンも今は快調そのもの。 | |
2.そのトラブルの原因はデスビキャップにあった | |
3.E34もまた小川氏が良く熟知しているクルマのひとつ。本来の調子を 知っているから、僅かな不調もすぐに分かる。 |
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4〜7.今回の車検整備で交換した主要新品部品。順に、アウトプットシャフトのリペアキット、左のロアアーム、フロントスタビロッド、チェックコントロールユニット。左のロアアームとフロントスタビロッドは、オーナーは気づいてないようだったが、入庫してガレージ内を移動した時に小川氏が異変に気付き対処することにしたもの。比較的軽度の整備内容で済んでいるのは、これまでの車検で基本整備をキチンとやってきたことが効いている。このE34M5のオーナーも小川氏が作成した最大の見積もりを元に相談しながら整備を重ねてきた。 | |
8.フロントガラスは雨漏りがあるということで、ガラスを貼り直している。接着式のフロントガラスは、接着があまくなるとピラーまわりの剛性が落ちてしまうため10年毎に接着し直したいとアクティブカーズでは考えている。今回はフロントのみだが、できればリアもやりたいところ。 | |
9〜15.先送りしていたアウトプットシャトのガタを今回対処。新品と交換するのが理想だが安くはないため、リペアキットを使って0/Hを実施。ブーツに切れがなくても内部のグリスはオイル状になって役目を果たさなくなっているため、分解しキレイに洗浄した上で、リペアキットを使って組み直す。その際に純正グリスよりも耐久性に優れたある車両の純正グリスを使っているのが秘訣。若干のガタであれば0/Hすることで問題なく使える。 |
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16.アクティブカーズで古いBMWを本来の状態に直すことができるのは、整備技術が高いことに加えてそのクルマ本来の状態を熟知しているということが大きい。一般的にはE30のイメージが強いかもしれないが、実は、E30〜E46世代のBMWにめっぽう強いのがアクティブカーズというショップである。時にディーラーからその世代のクルマが整備に持ち込まれることもあることからも、その腕前は間違いなく確かである。 | |
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