雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.3から引用) | |
もう少し足りないを解決するために M20 2.0Lを2.8Lへ排気量アップする やや線の細いイメージのあるM20が、 排気量アップ+αのメカチューンを施すことによって、 見違えるはどトルクフルでパンチのあるエンジンに生まれ変わる。 |
|
E30 320iに搭載されるM20エンジンは、6気筒ながらも2.0Lと排気量が少ないため、吹け上がりの鋭さこそあるものの、低速域ではトルク不足を感じているオーナーも多いはずだ。そこでアクティブカーズでは、オーバーホールなどの際に、排気量を2.8Lへ拡大するとともに、スムーズな吸排気を実現するためのメカチューンを施すことで、低速からの力強い加速感とノーマル以上に鋭いレスポンスを実現するチューニングメニューを設定している。 主なチューニングの内容としては、まずピストンをノーマルの¢80mmから国産エンジン用の¢86mm軽量タイプに交換することでポアを拡大し、クランクシャフトは2.7Lイーターエンジン用を流用することで、ストロークを66mmから81mmへと延長する。ストロークアップに合わせて、コンロッドも2.5L用の短いタイプに変更する必要があるが、これによって排気量を1.4倍の2.8Lにまで拡大することができるのだ。 ここから先のメカチューンの内容は、どの程度の性能を求めるかによって仕様は異なるが、今回のサンプルではより高性能を追求して、ヘッドまわりにも存分に手が入れられている。まず、吸排気のポートはインテーク、工キゾーストの各マニホールドとの段差を取り除きつつ、よりスムーズに吸排気が流れるよう形状を整えている。さらに燃焼室も、表面の仕上げを整えつつ、キッチリと各気筒の容積合わせが施された。その他、パルプシートリングもビッグパルプ的な効果を狙って、なるべく外アタリになるようレース用カットを実施。また、バルブガイドもポートへの突き出し量が少ないタイプに打ち換えられている。 今回の仕様では、日常での使い勝手を考慮してエンジン制御やカムなども含め、補器類は排気系を除きほぼノーマルのままだが、これだけエンジン本体に手が入っていれば、今後は目的に合わせてさらなるステップアップを目指すことも可能だ |
|
エンジンの制御は今のところノーマルCPUのままだが、e-マネージなどのサブコン装着によって、さらなるステップアップが可能だ。 | |
ヘッド側のポートと合わせて、インマニの内部も吸気ポート向かう吸気の抵抗を減らすよう、内部の表面がスムーズに整えられている。 | |
NAエンジンでも効果の高い排気チューンは、オリジナルのステンレスタコ足と合わせて、欧州仕様のストレート・センターパイプを装着。 | |
オリジナル・ステンレスタコ足 価格:15万円(現在受注停止中) ステンレスタコ足は、各気筒からの排気管を等長に取り回すことで、排気抵抗を抑え、脈動効果によるスムーズな排気を狙ったもの。 |
|
ヘッドは修正程度にごく薄く面研を実施。燃焼室形状とガスケットの厚みなどによって、圧縮比を10.8にまで高めている。 | |
オリジナル・クロモリフライホイール 価格:5万2000円 オリジナルのフライホイールは、ノーマルの8.6kgに対して3.9kgの軽量化を実現し、鋭い吹け上がりとともに、扱いやすさも考慮した設計だ |
|
シフトチェンジが愉しくなるような元気のいいエンジン | |
吸排気の各ポートは、マニホールドとの段付き修正を中心に、ポート内壁もよりスムーズに空気が流れるよう形状を整えている。 | |
シートリングは材質こそノーマルのままだが、バルブとのアタリがより外側にになるようレース用カットを施すとともに、突き出し量も調整。 | |
メタルもノーマルを使用するが、表面にWPC加工を施すことで、耐久性の向上とフリクションの低減を狙った。 | |
バルブガイドは、ガタなどをチェックし、摩耗が見られる場合は、各ポートへの突き出し量が少ないタイプに交換する。 | |
ブロックは2.0L用のノーマルのままでは、ウォータージャケットの形状などから¢86mmまでボアアップするのは厳しいのだが・・・。 | |
ピストンは、日産のSRエンジンエンジン用を流用するが、ノーマルのままではピストンハイトが異なるため、加工が必要となる。 | |
使用するピストン径が異なるため、コンロッドブッシュは打ち換えて、サイズ変更が施されるほか、気筒ごとの重量合わせも実施。 | |
今回の仕様では、カムはノーマルのままだが、摺動部にWPC加工を施すことで、回転抵抗を減らす対策が施されている。 | |
試乗インプレッション 早速試乗させていただいた2.8L仕様の320iは、慣らしの最中とということもあり、5000rpmに抑えてのドライブだったが、その実力の片鱗は十分うかがい知ることができた。まず何よりも、クラッチを繋ぎ、車が動き始めた瞬間から力強さを感じることができ、2速発進も容易なほどトルクフルな特性は、チューニングエンジンという言葉から想像されるような気難しさが皆無であった点が好印象だ。そして、そこからアクセルを踏み込んでゆくと、直6エンジンらしいスムーズな吹け上がりとともに、パンチの効いた加速が気持ちいい。アイドリング時などはハンチングもなく、マナーの良さを見せていたM20エンジンだが、力強く加速していく様はチューニングエンジンらしい雰囲気もビシビシと伝わってくる。エンジンが回転するフィールも、各部のバランスを正確に合わせた高精度なエンジンに見られる精緻な印象で、油断しているとあっという間に5000rpmを過ぎてしまいそうなほどシャープなレスポンスを楽しむことが出来た。 |
|
雑誌掲載記事メニューへ | ←BACK NEXT→ |