雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.27から引用)#2 | |
E30は長く乗っていける作りをしている | |
整備で本来の調子が戻ってくる! E30 Maintenance Guide E30は年式の新しいものでも、既に20年以上の時が経過している。しかし、そのスタイル、走肌だ魅力を感じている方は少なくない。ここでは、そんなE30を調子よく乗っていくために、今気をつけておきたい整備のポイントご紹介する。 |
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E30の整備のポイントを教えていただいたのは、E30乗りの間で困った時の駆け込み寺として知られる山梨のアクティブカーズである。代表の小川氏は、BMWディーラー時代から、今日まで、数多くのE30をみてきた方だ。その小川氏がいうには、これまでみてきた中で手を施すことが出来ない致命的なトラブルというのは、なかったそうである。それは、E30というクルマは、足まわりにしても、複雑にはなっているのだが、作り的には単純化されている。だから、整備をすることで元の状態に戻る率がすごく高いのである。 また、E30はE34などとともに、今時のクルマと比べても丁寧に作られているともいう。例えば、今時のクルマは、下周りのアンダーコートなどいっさいふかないから、走行距離の少ないクルマであっても、ボルトが真っ茶色だったりする。今は新しいから良いが、それが5年先、10年先になって、いざ整備しようとするとボルトが切れたり、ということがすごく出てくるのではないか、と小川氏は懸念している。 −方、E30はそういうのがあまりない。ある意味、長く乗っていける作りをしているのである。もちろん乗りっばなしではだめだ。E30を調子よく、長く乗るには、整備がかかせない。それも、悪くなってから行うのではなく、いかに予防整備をするか、ということが大事なのである。 |
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今E30を購入するのなら・・・・・ 外装からみてなるべく締麗なものが良い。で、運転席に座らせてもらって、あぁこのクルマいいなと思えたらそれが一番。事故無しであれば、エンジンから水漏れしようが、オイル漏れがあろうがアクティブカーズであれば完壁に直せる。 |
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例えば、オートマチックトランスミッションのオイル交換。アクティブカーズでは、基本、定期的な交換をオススメしている。そのため、巷で弱いと言われるオートマチックトランスミッションも、アクティブカーズのお客さんのクルマは、20万kmくらいはふつうに調子よく走っている。そのためここ最近は、アクティブカーズでオートマチックトランスミッションを交換するといったことはほとんどないそうである。E30を調子よく乗りたい方は、予防整備を心がけて頂きたい | |
エンジン系の整備ポイント | |
ホース&ラジエター ホースが膨らんでいるのは、外は大丈夫でも中が切れていることがあり、水漏れの原因になる。交換の目安は5、6万kmで、使っても10万kmくらいまで。また、ラジエターは樹脂とアルミのかしめ部分が劣化して漏れたり、樹脂部分が割れることもある。漏れたら即交換したい。 |
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ヒーターコア&バルプ ここからの漏れは発生場所によっては火傷することも。アクティブカーズでは必ず点検するところで、漏れがあれば交換を提案する。また、バルブの破損で温水が流れなくなることもある。そうなれば交換。ちなみにヒーターコアは2万7000円、ヒーターバルブは2万8000円くらい。 |
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タイミングベルト これが切れるとバルブとピストンが当たる。アイドリングであればバルブの曲がりで済むが、高速上となるとシリンダーヘッドが破損する。アクティブカーズのお客さんには4年または4万kmでの定期交換を推奨している。10万km交換の日本車から乗り換えたばかりの人は注意! |
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燃料ポンプ 高速で休憩して、さあ行こうとエンジンをかけるとセルは回れど掛からないとか、突然止まることが多い。それを避けるなら交換の目安は7〜10万km。その際は燃料ポンプのリレーと、エンジンのメインリレーと燃料ポンプフューズ、そしてフィルターもー緒に交換するようにしたい。 |
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オルタネ一夕ー 早いと3万kmでダメ。点検時は、スイッチオンの状態でチャージランプが点き、エンジン始動後消える。後はアイドリング時と負荷時の充電量を測定。さらにべルトを回してベアリングから音がするかどうか、またボルテージレギュレーターのブラシの残量などを見て判断するそうだ。 |
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セルモーター ダメになると不動になる。原因はイグニッションスイッチか、マグネットクラッチまたはモーターの不良。交換の目安はなく、基本悪くなったら交換。ただ、時々まわらなかったり、モーターの音が悪くなったりといった前兆がある。交換時はイグニッションスイッチもー緒に換える。 |
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オイルパンガスケット E30のオイル漏れで一番にくるのはここか、クランクのオイルシール関係。E30は大概古くなるとガスケットをやらないとヘッドガスケットからオイル漏れすることがある。ヘッドガスケットの場合は、エキゾースト側であるからシミがでているようであれば早めに処置した方がいい。 |
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E30を調子よく長く乗るために E30を調子よく長く乗るには、乗りかたにも気をつけたい。まず暖機運転は長いのは不要。寒い時でも最大やって2分。それでギアを入れて、水温計が青い所を越えるまでは、2000rpmもしくはマニュアルであれば、2500rpm以下で走るのである。そうして走りながらクルマの各部をウォーミグアップするわけである。その際は、オーディオなどはかけない方がイイ。これを毎日やっていると、自然とクルマが発する音を覚えられるから、異変が起きた時に気づくことができるのである。あとは乗る時はきっちり乗るというのも大事。水温が上がった所でチャンと走ると爆発の熟でプラグを焼いてくれるためカーボンもとれる。保管とかで、週に一度エンジンをかけるだけなら、かけないで2週間でもバッテリーを外して置いておくほうがいい。 |
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デストリピューター まずM3限定の話だが、デスビのキャップとローターは必ず焼損が無いか点検するそうだ。ここがだめになると、エンジンが掛からなくなり場合によってはエンジンのDMEを壊してしまう。また6気筒の場合4000rpm以上回りづらいとか、不調があればキャップに原因があることがある。 |
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バルブクリアランス ここは微妙な摩耗よりちょっと広がったりがあるので、そうなるとエンジン音が大きくなる。ベストな状態を保つのなら調整したい。アクティブカーズでは6気筒の場合、車検毎に行う。調整するとすごく調子よく回るようになるが、カムが摩耗していると調整では直すことができない。 |
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エアフロメーター エアフロはテスターで制御電圧をチェックできるが、その数値がよくてもエアフロのポテンシャルメーターの不良により、吹けが悪くなったり、アクセルオフで不調がでたりすることがある。マニュアルでは分かりやすいが、オートマだと分かりづらい。基本悪くなったら交換する。 |
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アイドルコントロールバルプ ここが悪くなると状況により色んな症状がでる。まずアイドリングが出来なくなったり、回転数が低くなりエンストすることもあれば、ハンチングすることも。マニュアルであればクラッチを踏めばいいが、オートマは困る。1度は清掃して使えるが2回目に同じことあミ起きたら交換時期だ。 |
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スロットルスイッチ ここに不具合があって、アイドル信号が入らないと、アイドリングの回転数がすごく上がってしまう。また、フルロード信号が入らない場合にも上がなんとなく力が微妙にないような気がするかも知れない。原因はスイッチの劣化。6気筒であればテスターで点検できる。悪ければ交換。 |
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02センサー 完全に断線すると中間で止まるが、変に動いていて薄いところで固定してしまうとエンジンのアイドル不調になり、逆に濃い方で止まっても不調になる。燃費にも影響する。ただ、填れてもクルマは走ることが可能。ボンネットの中のステッカーには8万kmで交換とあるのだが・・・・・・ |
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アクセルワイヤー アクティブカーズでは、幸いなことにアクセルワイヤーが切れたことも、戻りが悪くなったことも−度もないが、途中でひひっかかってエンジンが吹けたままなんてことになると、大変なことになるから、点検では必ずチェックを行っている。もし、動きが悪いようなら交換するべきだ。 |
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インジェククー アイドリングで正常ならば車体が揺れることはないが、振れる場合は、アイドリング時の噴射状態がよくないことがある。また、再始動の際にセルの時間が長くかかりアクセルを煽りやっとかかって黒い煙がでる場合はリークが考えられる。どちらも0/Hの目安としてみるといいそうだ。 |
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今回取り上げた数々の整備ポイントはいずれもアクティブカーズが点検で実際にみていくところの極く一部である。もし、自分のクルマは、はたして大丈夫なんだろうかと思ったら、一度アクティブカーズに相談してみることをオススメする。E30を調子よく乗っていきたいという方であれば、きっと満足の行く結果がえられるはずである。 | |
下まわりの 整備ポイント |
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ブレーキキャリバー 引きずりや、ブーツに切れがあるようなら対処したい。ここの部分はリペアキットがあるので0/H可能。一方ブレーキマスターの方も15万kmを越えているならそろそろ交換時期が近い。でもそれはそれまでメンテをしてきたクルマの場合であって、何もしないで15万kmはさすがに無理だ。 |
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ステアリングラックブーツ ここのブーツに切れがあるようならば即座に交換したい。ギアボックスの内部にゴミが入ってしまうとオイルシールを傷めたり、シャフトを傷つけてパワステのオイル漏れの原因となる。そうなるとギアボックスを交換するしかない。ところがE30のギアボックスはなんと廃盤。 |
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トルクコンバーターオイルシール ここからのオイル漏れは乗っていて分かるものではないが、見逃すと終いにはオイルがなくなり、クルマが動かなくなってしまう。漏れがある場合は、早めに対処したい。E36以降にはついてないが、E30の場合はレベルゲージが付いているので、オーナーもチェックすることが出来る。 |
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ドライブシャフトブーツ ここのブーツは、目視により判断するところ。ひび割れくらいであればまだいいが、切れているようであれば、すぐ対処したい。でないと、内部のグリスがなくなり、またゴミが進入したりするとドライブシャフト自体がダメになってしまう。ドライブシャフトは1本で7万円くらいする。 |
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ロアアームボールジョイントブーツ ここは点検して切れていると速攻でやる必要がある。でないと水が入るとボールジョイントはロアアームごとの交換になるのでご注意。あと、フロントロアのコンロールアームプッシュはあまりに悪いと轍でハンドルをとられやすくなる。そうであれば傷んでいると判断してもかまわない。 |
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プロペラシャフト ここはディスクジョイントとセンターベアリングが劣化でヘタる。特にセンターベアリングの方は、ゆっくり交差点を曲がる時にゴトゴトしたり、発進時にも音がするなら可能性大。基本点検して悪ければ交換。ディスクジョイントをやる際には、状態をみてミッションマウントも−緒に。 |
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エンジンマウント ここはM3であればなんとなく振動が車体に伝わるのであったらヘタっている可能性がある。6気筒などの場合は、分かりづらく、切れたまま乗られている個体もかなり多い。交換の判断は、基本的に目視での点検により行い、ひび割れや切れがあって悪ければ交換することになる。 |
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内外装の整備ポイント | |
メーターギア メーター内部のギアが欠けるとトリップメーターが不動になる。給油後、たまたまゼロに戻そうとしたら動かなくて気が付くケースが多い。あと、オートマでシフトポジションが不灯している場合に、原因が配線切れだと場合によってはショートするとセルモーターが回らなくなるので注意。 |
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ダッシュパネル ここの割れはE30全般にわたってよく見うけられるトラブルのひとつだ。割れる時には割れるものであるが、普段からまめに手入れをして対策しておきたい。なにしろダッシュパネル自体は安いものではないし、工賃の方も脱着に手間がかかる分、それなりの値段になってしまう。 |
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シート シートは、乗り降りの際にスレることで、背もたれの端とか座面の端の生地が擦り切れてしまうので注意したい。張り替えをすることもできなくはないが、純正生地で、なかのアンコも換えるとなるとかなり高額なものになる。また、純正生地の方もあるかどうかは微妙なところだ。 |
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ボディの錆にご注意! モノコックボディは、クルマにとって最も大事な部分。モノコック自体がダメになったらクルマは終わってしまう。その錆びの確認は目視で確認していくしかないのだが、カーペットなどいろんな部品を外さないと分からない部分でもある。そのためショップの方も、分解工賃がかかるところでもあり、ユーザーから依頼がないかぎり、そうそう確認できるものではない。だから、普段ショップにクルマを入れているから見てくれているのだろうと思うのは早計だ。E30に長く乗るのであれば、−度ボディのチェックをしてもらうのが賢明だ。でないとある日、床が抜けてそれで気がつくということにもなりかねない。そうなってからではちょっと遅い。 |
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ワイパーリンケージの根元のゴムが傷むとそこから雨漏りして中が錆びるのでご注意。 | |
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