雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.24から引用)#1 | |
今回は、車検整備でアクティブカーズに入庫していた一台のE36をご紹介したい。なんとこのE36は走行距離が50万kmオーバーなのである | |
「走行50万km越えながら快調に走るE36325iの秘密」 | |
毎年、11月になるとアクティブカーズに1台のE36がやって来る。オーナーは、ピアノ調律師の仮称Aさん。12、3年前に走行距離が3、4万kmの93年式325iを親類から譲り受け、その際修理で訪れて以来、車検整備と1年点検を欠かすことなくアクティブカーズで行っている。アクティブカーズにやって宅るBMWは、20万kmや30万kmオーバーでも良い調子を椎持し、快調に走っているクルマが多いのであるが、この325iは50万km越えのクルマだ。 驚くべき走行距離であるがクルマ自体の調子は、頗る好調を維持しているという。今回の入庫は車検整備である。予定している主な整備箇所は、オートマチックトランスミッション、ドライブシャフトブーツ、ヒーターコア等々。中でも今回のメインとなるのはオートチックトランスミッションの交換である。メーカーによるとその耐用は30万kmと言われている。Aさんの325iはそれを20万kmも越えている事にになるのだが、現状で何か問題を抱えて えている訳ではない。では、なぜ交換するのだ?ということになるがそれは耐用距離を大きく越えていることもさることながら、Aさんの台25iの使い方というか、ピアノ調律師という職業が関係している。Aさんは仕事で325iを使っており、調律の依頼を受けて県外へ出かけることが多い方なのである。だから走行距離も伸びた訳であるが、ピアノの調律という仕事柄、現場へ行く途中でクルマが止まっては大問題なのである。現状調子が良いだけにもったいない気はしているが、まだまだ乗る以上どこかでやらなければいけないことから、今回の車検整備を機に交換することにしたのだった。 AT車にお乗りの方であれば、50万kmもオートマチックトランスミッションを好調な状態で維持できた秘訣があれば、知りたいのではないかと思う。その点を小川氏に聞いてみた。「オートマチックトランスミッションは私が見てきた中で言えば、保つやつは20万km、30万km走っても何ともないですし、その一方で稀にですが5万kmやそこらでダメになったものもありますし、どこまで使えるかというのは一概には言えません。ただ、この325iのケースで言えばお客さんに守っていただいたことが1つあります。それは、暖機のやり方。水温計が青い領域にある内は、2000回転以下で走り、それでミッションを暖機させる。水温計が真ん中まできた時は、ミッションの方も暖まってますから、そこからは普通に走ってもらって構わないのです。それと、シフトの操作ですが、クルマがしっかり止まってからするというのも大事です。例えば、バックの時にクルマが止まらない内にドライブに入れたり、逆に、前に進みながら止まらない内にリバースに入れるのもミッションに良くありません。そういう荒っぽい運転はダメですが、かといって、エンジン、ミッションが十分暖まっているのに大事に大事に回転をあげないようにしているのも良くはありません。例えばの話、何かの時に回した時に、無理がかかって壊れることもありますから過保護するぎるのも良くないのです。また、長持ちの秘訣を整備の観点から言えば、一番は予防整備をちゃんとやるということが大事ではないでしょうか。Aさんの325iはATFがロングライフになる前のモデルですが、ミッションの具合が悪くなってからATFを換えるのでは遅いのです。調子の良い状態の時に、順次交換をすることが重要です。ミッションのことに限らず、クルマを調子良く長くのるためには、予防整備が大事だと弊社では考えています。」 ここで、3251のこれまでの主な整備履歴をご紹介しておく。 初来店は02年4月、走行距離は4万9281km。この時の主な整備内容は、ウオーターポンプとサーモスタットの交換。そしてミッション関係の3万キロ 期交換を実施 |
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02年11月、車検整備。走行距離:7万5800km。整備内容:燃料ポンプ、ラジエター、ヒーターホース関係。03年11月、1年点検。走行距離:11万4600km。整備内容:3万キロ定期交換。 04年11月、車検整備。走行距離:15万4700km。整備内容:ショックアブソーバー、ラジエターホース、オルタのボルテージレギュレーター、3万キロ定期交換。 05年4月、修理。走行距離:17万3000km。整備内容:メーター交換。 05年11月、1年点検 走行距離:19万5883km。整備内容:3万キロ定期交換、バッテリー。 06年11月、車検整備。走行距離23万9000km。整備内容:キャリバー0/H、マスターシリンダー交換、ビルシュタイン0/H、3万km定期交換。 07年11月、1年点検。走行距離27万5300km。整備内容:ABSハイドロユニット、ボルテージレギュレータ、燃料ポンプ、運転席シート。 08年12月、車検整備。走行距離31万600km。整備内容:タイミングチェーン、クランクオイルシール、ヘッド0/H、カムチェーン、ラジエターホース、ヒーターホース、カムセンサー、クランクシャフトセンサー、オルタ0/H、3万キロ定期交換。 09年12月、1年点検。走行距離34万6300km。整備内容:ショックアブソーバー、バッテリー、ヒーターバルブ、3万km定期交換。 10年12月、車検整備。走行距離38万7500km。整備内容:リアホイールベアリング左右、3万キロ定期交換。 12年1月、1年点検。走行距離42万4000km。整備内容:レカロシートリペア、ウオーターポンプ、サーモス タット、ラジエターホース、02センサー、3万km定期交換。 12年12月、車検整備。走行距離45万5800km。整備内容:燃料ポンプ、ラジエター、オイルフィルターボディ、バッテリー、3万km定期交換。 13年12月、1年点検。走行距離48万9000km。整備内容:サイドブレーキライニング、アクセルワイヤー、3万 キロ定期交換。 以上の中で、頻繁に出てくる3万km定期交換という整備に気づかれたと思うが、先に紹介した小川氏の話にでたトランスミッションの予防整備のことでる。その中身は、ATFとフィルターの交換、そしてデフオイルの交換を文字通り3万kmを目処に行うものである。年により3万kmを前後することもあるが、欠かすことなく行われてきた。これも325iのミッションが50万km以上保った1つの要因だと小川氏は考えている。また、クルマ全体でみても、ABSランプが点灯して交換したABSハイドロユニット。燃費が悪くなり交換した02センサー。オイル漏れを見つけて交換したオイルフィルターボディの以上3点以外は、小川氏が点検しその時点では不具合がないものの予防整備が適切と判断したものである。予防整備を重ねた結果、Aさんの325iが故障して仕事に支障を与えたことは、これまで一度もなかったそうである。 仕事で使うクルマなら信頼性の高いクルマを使えば、という見方もあろうかと思うが、Aさんが325iを仕事に使うのにも訳がある。325i以前は、日本車で、その時も20万km以上乗っていたそうだが、それだけ乗るとフレームが弱ってきて、身体が疲れてしまっていたそうである。ピアノ調律師という仕事は、メンタルが仕事に大きく影響するため、疲れた身体で調律しても上手くいかないそうなのだ。その点E36 325iは、長距離の移動も楽で身体が疲れない上に、運転自体が楽しいため気持ちよく現場に出かけられるのだという。Aさんが今もなおE36 325iに乗り続けているのには、そんな理由がある。 Aさんの325iは、アクティブカーズの適切な整備によって、まだまだ走行距離を伸ばしていくことだろう |
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1.走行距離51万9821kmというE36 325i。2.メーターは17万3000kmの時点で交換されているため、オドメーターの数値は34万6821kmとなっているが、積算走行距離は間違いなく51万kmオーバーである。3.整備にあたるのは入社9年目の八木メカ。小川氏から薫陶を受けてきただけあって、その整備技術は折り紙付き。4.下ろされたジャトコ製5段オートマチックトランスミッション“JR502E-B”。5.本体を交換するのは今回が初めてだが、パルスセンサーなどは以前に一度交換されている。8.新しく載せるミッションは、ジャトコに受注生産で依頼したリビルト品。下ろした古い方は、またこのコンテナで送り帰すことになる。ちなみに部品代金は、30万円チョットと意外と安価。7.載せ換えにともない、シフトレバーとミッション本休を繋ぐボーデンケーブルも新品に交換。アクティブカーズで整備されたクルマがトラブルなく調子良く乗れるのは、こうした関連整備をおろそかにせずしっかり行っていることも大いに関係している。8.アクティブカーズでは、ロングライフのATFではないAT車の場合、3万km毎に、ATFとフィルターの交換と、同時にデフオイルの交換を推奨し実施している。9.本文中で説明した水温計を目安にした暖機運転がミッションを長持ちさせるひとつの秘訣だ。10.エンジンは以前にヘッドのみ0/Hされており絶好調。11.純正シートはへタってしまい身体が疲れるようになっため今はレカロに交換されている。12.クルマを長く調子よく乗るには、正しいクルマの扱い方と予防整備が大事という小川氏。クルマを見る確かな眼力と乗り方、年式、走行距離などから、ベストな整備を提案してくれる。 | |
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