雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.17から引用)#1 | |
壊れ難いクルマだが乗るには覚悟が必要か!? E30M3中古車購入ガイド 今や20年以上が経過したE30M3。このクルマと付きあっていくには、何より購入後の整備が大事。その整備が必要とされる可能性の高い、主なウィークポイントをアクティブカーズで教えてもらったので、ご紹介しよう。 |
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20年以上経過したE30M3はメンテナンスが必要不可欠 | |
アクティプカーズは、BMWディーラーの工場長だった小川氏が代表を勤めるBMW専門店。確かな腕を頼り各地からユーザーがやってくることで知られている。その小川氏に、E30M3の主なウィークポイントをご教示いただいた。それが本ページ下から始まるコマ割りの写真群である。初めにお断りしておきたいのは、あくまでそういう傾向にあるということで、それら全てが必ず壊れるかというと、そうでもないということ。それは、その個体の歴史の中で、前オーナーが既に直しているということもあるだろうし、使い方、乗り方に左右される部分もあるからだ。加えて、E30M3は、元が丈夫に造られていることもあり、同年代のクルマと比べ、定期のメンテを怠らなければ壊れにくいのだ。ただ、そうは言っても年数が経過したクルマであることに変わりはない。国産車の感覚でメンテフリーで乗るという訳にはいかないから、楽しく乗るには、覚悟をもって乗るべきクルマではある。でも、それさえあれば、このクルマはホントに応えてくれるし、それだけの価値(楽しさ)がある。それは、今なお相当数のオーナーがいることが証だ。 また、各ポイントの良し悪しの判断は、我々素人には非常に困難だということをご理解しておいて頂きたい。素人にそれが分かれば苦労はない訳で、もし分かるのであれば世の中にこれほどのプロショップは存在していない。判断は、あくまで小川氏のような個体を熟知したプロの方が点検して初めて下すことができることなのである。 これからE30M3に乗ろうと思っている方、あるいは乗り始めたばかりという方に特にオススメしたいのは、専門店での点検・整備だ。乗り始めたばかりだと、本来のベストな状態が分からないだろうし、そうするとトラブルの前兆が出始めていてもそれに気がつけず、より深刻な状態に陥ることもありうるからだ。そうなる前に、クルマの状態を把握しておく方が、計画的に整備を進められるのだ。アクティブカーズでは、整備が前提であれば、そうした点検に対応(定期点検も対応)している。その場ですぐ結果を出せる訳ではないため、クルマを入庫しての対応となるが、クルマ全体だけでなく、気になる部分だけとか、場所を限定しての点検整備も実施してくれる。また、その診断結果に対し、今やるべきこと、次の機会でいいものと、振り分けてもらえることも個体に精通した専門店ならではの対応である。さらに言えば、E30M3というクルマの整備では、作業の随所にちょっとしたコツが物を言い、それが出来上がりを大きく左右する。旧いクルマには、そのクルマを熟知した主治医が不可欠なのは、そうした理由であるが、専門店での点検整備は、E30M3を安心して、気軽に乗れるクルマとするための、何よりもの近道である。 | |
エンジンルームのポイント | |
スロットルのインシュレーター 劣化することで2次空気を吸い込みアイドル不調やエンジン不調となる。朝の冷間時のアイドルが安定しなかったり、エンジン不調があるようであれば、インシュレーターを疑ってみてもいい。交換の目安は車検2回に1回程度だ。 |
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エクスパンションタンク やけに黄色っぼいのは過去に交換されてない可能性大。亀裂が入る前に交換したい。またラジエターキャップはアッパーホースが妙に潰れていたり、ラジエターを換える時には合わせて交換したい。ダメになるものは1年でダメになる。 |
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オルタネ一夕ー・アジャスター ステーが折れると発進時にべルトが滑ったり、妙に緩くなったりする。点検は車検毎。またプッシュが劣化すると本体が傾く。この辺はエアコンコンプレッサーも同様。オルタはグランド線も要点検。被覆が劣化し断線すると充電できない。 |
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燃料ホース 燃料ホースは必ず見るべき箇所。途中から漏れることは少ないので、一番見ておきたいのは接続のホースバンド部分。ひび割れているようであれば早めに交換する。そのホースはM3専用品よりも純正の切り売りの方が高品質で持ちがいい。 |
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デスビのキャップ&ローター 焼損したり割れるとバックファイヤーを起こしたりしてエンジンが止まる。2次電圧が戻りDMEがパンクすることも。プラグ&コードとも車検毎に点検。破損があればセットで交換。10万km以上使ったコイルは予防整備を兼ね交換しても。 |
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チェーンテンショナー 摩耗により空気が入りやすくなると、チェーンの張りが弱くチェーンが動くことでガタガタと音が出る。圧力がかかれば張りは戻るが、最初直ぐ消えた音が段々消えるまでの時間が長くなってしま う。音がでたら交換するのが基本だ。 |
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ウオーターホース&ヒーターホース ラジエターのアッパーホースやロアホースは見えるから交換するが、ヒーターホースは見逃しがち。アッパーホースやロアホースがだめならば、ヒーターホースも疑ってみるべきである。1度換えれ ば10万kmくらいは持つ。 |
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オイルパンのオイル滑れ ヘッドカバーのガスケットのオイル漏れもそうだが、オイル漏れがあれば対処するのが基本。きっちり直せば漏れは完全に止まる。なおカムホルダーからの漏れは、いきなり漏れることはないから、予算等でやるやらないを判断しても。 |
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ラジエターアッパータンク アッパータンクの、ラジエターホースを差し込む部分が割れることがある。でもこれはホースバンドの締めすぎが原因。これはちょっとしたコツがあるそうで、アクティブカーズで交換したラジエターは、10年は平気で持つそうだ。 |
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ブローバイホース 劣化してくるとオイルの滲みが発生する。それでも、抜けるようなことはめったにないし、エンジンの不調とかにはよっぽどのことがなければ繋がらないと思うが、明らかにカチカチになっている ようであれば交換した方がいい。 |
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アクセルワイヤー ささくれや曲りがないか随時点検。遊びがあったら必ず調整して直す。動きが重くなってきた場合は、オイルを差してどうこうするよりも安全性を考慮してひとおもいに交換したいパーツである。交換すると確かに軽くなる。 |
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アクセルスイッチ これが壊れるとアイドル接点しないため、アイドリングが上がったり、冷間時のエンジンの掛け始めに、やたらかぶったりする。壊れているかどうかはテスターで導通をチェック。あるいはワイヤーを引きカチカチ音がするかを見る。 |
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ヒューズボックス ヒューズボックスは電動フアンがまわるかどうかっていうところを確認しておきたい。その確認はエアコンスイッチを入れて電動フアンが回ってるかどうか。回っていなければ、ヒューズの切れもしくは、レジスターが切れている。 |
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ブレーキマスター 傾向としては10万kmを越えたら交換したい部分だが少々高価。引きずりのある場合は交換しかない。フルードは距離に関わらず車検毎の交換。マスターバックの取付け部の塗装の剥がれは漏れを疑うべき。基本プロに任せるべき部分。 |
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パワステオイル パワステオイルの漏れはBMWに付きものだが、皆さんパワステオイルは見落としがち。定期的に汚れ、量は見ておきたい。ホースに漏れがなく妙に少ないのであればギアボックスからの漏れを疑う。ギアボックスからであれば交換だ。 |
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下まわりのポイント | |
ブレーキキャリバー&ローター キャリバーはブーツを点検。切れるとゴミが入りったり、ピストンが錆びて引きずりの元になる。ローターは触って引っ掛かりがあると交換。また60km以上で軽くブレーキを踏み、ハンドルがカタカタ鳴る場合は振れの可能性も。 |
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アッパーマウント 前後ともひび割れ等を点検する。フロントの方はへタると上に上がってきて、ハンドルをすえ切りした時に発砲スチロールを擦ったような音がする。リアの方は負可がかかる分リアトレーリングアームプッシュ等よりも傷みやすいようだ。 |
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ロアアームボールジョイントブーツ ブーツに切れがあるとボールジョイントの錆に繋がる。錆が進行するとガタがでて、ローアアームの交換となる。そのガタは低速で段差を越えたり、ブレーキを踏んだ時に音が出る。でもプロでなければ分かりにくいので素人判断は禁物。 |
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ステアリングラックブーツ ひび割れがないか点検しあれば交換する。またブーツをつまんでみてグジュグジュ音がするのはギアボックスからのオイル漏れがある証拠。となると高価なギアボックスの交換となるので、それを防ぐにはパワステオイルの点検も重要だ。 |
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クラッチ クラッチの交換時期は乗り手次第だが、重くなってきたらOHすべき。重いまま乗るのは、エンジンのスラストメタルにも悪影響。OHの際はクラッチマスター、レリーズシリンダー、レリーズベアリング等の点検整備も実施する。 |
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リアトレーリングアームブッシュ 目視でひび割れがあるようだと交換。このプッシュやリアアクスルキャリアのプッシュがダメになっていると走行時になんとなくリアが落ち着かない感じがするが、これも最初からそうだと分からないだろう。判断はプロにお任せを。 |
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リアアクスルキャリアのブッシュ ここは目視では確認不可能。判断はリフトにかけて下がり具合を見るのだが、素人には判断が難しい。劣化が伺え交換する場合は、作業上リアトレーリングアームも外すので、それもダメなようならセットで交換するのが望ましい。 |
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デフのミツド&サイドシール ともにオイル漏れがないか確認する。基本漏れてなければ交換する必要はない。漏れのある場合はそのまま放置しておくと最悪の場合、デフの破損に繋がるので注意。デフオイルの交換も忘れがちなところ。通常は3万km毎に交換する。 |
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ドライブシャフトのダストブーツ ブーツにひび割れがないか点検し、あるなら早めにリペアキットで交換する。交換せずそのまま使っているとゴミ等が進入しガタがでてくる。そうなるとドライブシャフトを交換する羽目になる。そのドライブシャフトは安くない。 |
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燃料ポンプ&フィルター 2300の燃料ポンプは2つ。メインの方からジージー音がする時はインタンク側が止まっている可能性大。交換はセットで換え、同時にポンプリレー、メインリレー、ポンプフューズ等も交換したい。フィルター交換は3万km毎に。 |
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室内のポイント | |
メーターのギア 経年劣化によりオドメーターとトリップメーターの内部のギアが欠けてしまうことがある。一つのギアで両方を動かしているため、ギアが欠けるとどちらも止まってしまう。でも一度直してしまえばそうそう壊れることはないそうだ。 |
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ABSの制御リレー 破損するとABS警告灯が常時点灯になりABSが働かない。同様にブレーキライニングランプもコンダクタープレートの劣化で点きっばなしに。またSIプレートが壊れるとインスぺクションやオイルサービスが点灯しリセットできなくなる。 |
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シートのダンパー リクライニングのリターンのダンパースプリングが劣化すると、リクライニングレバーを上げた際にバックレストが後ろに倒れるようになる。原因はダンパー抜けなので、交換するしかない。これはボンネットダンパーも同じことだ。 |
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ヒーターラジエター ここはクーラント漏れに注意。室内だとアクセルペダル付近、車外だとミッションの後ろ付近にクーラントが垂れていたら、ほぼヒーターラジエター(かしめ部分)からの漏れだ。またヒーターバルブ本体から漏れることもある。 |
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シフトノブ E30M3のシフトノブははめ込み式。そのロック部分が割れてグラグラすることがあるが、その発生は乗り手次第の面がある。またシフト関係では、シフトロッドジョイントにガタがでると、シフトレ バーがグラグラし操作し難くなる。 |
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集中ドアロック 症状としてはロックが掛からなくなる。原因はドアを開けた所の集中コネクターの接触不良、またはセントラルロックのユニットの内部不良。ユニットの不良は接点不良の他、Aピラーの根元付近にあるため雨漏りでダメになることも。 |
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サンルーフ 本来は定位置で止まるものだが、ホールセンサーの位置がズレしまうと停止位置もズレてくることがある。これは調整することで直すことができる。E30は良くできているので内装関係ではさほど困るような不具合はあまりない。 |
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オススメパーツ〜整備の際に〜ぜひ! | |
●ACオリジナルクロモリフライホイル クラッチをOHする際などに使いたいのがこちら。2.3Lの純正重量8.2kgに対し、約4.7kgと軽量。交換することで中間域が速くなり、乗りやすさが向上する。軽すぎでトルクが痩せることはないから、エアコンを作動させてもエンストしない。また回転の下がりが速くなるため、ミッションがシンクロしやすく、ミッションの保護にもなる。 |
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純正クラッチはもちろん強化クラッチにも対応。ストリートだけでなく、サーキットユースにもオススメだ。 | |
●ACオリジナルオルタネータ強化ブッシュ | |
純正プッシュはへタってオルタ本体が傾く、本製品はその対策品。振動を吸収するウレタン製なのが特徴だ。 | |
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