雑誌掲載記事 | ||
BMWER(vol.16から引用)#1 | ||
E30 M3+AT仕様M20型エンジン 異色!?のエンジンコンバートが堂々完成 |
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E30を初めとする旧いBMWに強いアクティブカーズで進められていた、異色のエンジンコンバートがついに完了。 E30M3のS14エンジンにかえて、E30325iのM20エンジンをATのまま載せた、ユニークきわまりない車両をこ紹介いたします。 |
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違和感のない純正然とした仕上がりは アクティブカーズならでは |
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E30M3のS14エンジンに換えてE30325iのM20エンジンにコンバートする、しかもオートマチックトランスミッションでというと、“信じられない”と思う方も大勢いることでしょう。でも中には、そういうクルマが欲しいと思う方もいるのではないかと思います。本車のオーナーは、まさにその後者の方でした。 異色のコンバートが実現された経緯は、既に一台E30M3を所有しているオーナーか、奥さんも気軽に乗れるE30M3が欲しくて、アクティブカースに相談を持ち込まれたことから始まりました。 気軽に乗れるクルマは、今の時代幾らでもありますが、そのオーナーにとっては、大好きなE30M3でというのは譲れないところだったのです。 E30M3にM20工ンシンを載せることは、話としては異色なのですが、車体とエンジンのマッチングというところから見ると、異色とも言えない組み合わせなのです。というのも、E30M3も元をただせば6気筒をベ一スに作られているということがまず上げられます。それとM20工ンシンとS14エンシンとは、エンジンの重量的には差ほど遣いがなくて、むしろ単体であればM20エンジンの方が軽いのです。ただ、オートマチックトランスミッションである分M20エンジンの方が重いのですが、E30M3はもとよりリアが重いため、前後バランスで言うとM20エンジン+ATの組み合わせは悪くないのです。これがM30だと話は別で、かなりフロントヘビ一になることか予想されます。今回のコンバートはM20であるという点が鍵で、アクティブカーズの小川代表は、そのことを予め推察した上で、オーナーに喜んでもらえるいいクルマになると確信してコンバートを引き受けたそうです。 そのコンバート作業自体は、E30を熟知したアクティブカーズですから、さしたる問題もなく、すみやかに終わりました。 完成したE30M3改は、軽く試乗させていただいた限りでは、工ンジンスワップして作られたものとは思えない、純正然とした至って自然な乗り味だったのです。S14エンジンが載った本来のM3と比べてしまうと、M3のようなノーズの軽さこそありませんが、かといってフロントヘビーでもなく、極く自然なバランスなのです。加えて、S14のかわりに載せたM20工ンジンというのが 元々アクティブカーズでチューニングされた工ンジンということもあって、ノーマル以上にトルクが厚く、パワーもあってよく走るのです。S14工ンジンとは違って下からトルクがありますから、信号でのスタートもさほど回さなくても軽くすっと前に出ることができ、楽に流れをリードできますし、踏めは踏んたで十分すぎる速さもあって、ATとは言え実に楽しいのですそれは、製作途中に小川代表から聞いた、“ATでも乗って楽しいクルマになるよ”という言葉の意味がよく分かった瞬間でした。渋滞にはまったとしてもM3のようにクラッチに気をつかう必要もありませんから、オーナーが気楽に乗れるM3を望んだことも、実際に乗ってみるとよく理解できる気がしました。E30M3+AT仕様M20工ンシンの本車は、本来のM3とはまた違ったクルマだとは思いますが、これはこれで存在意義のあるクルマと言えるのではないでしょうか。有りか、無しかと問われたら、私は有りと答えますが、果たして皆さんはいかがでしょうか? |
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1.エンジン、ミッション関係は基本M20エンジンのものを移植している。整備の行き届いたエンジンはその昔からして上質だった。 2.当然コンピューターも325i。車体側ハーネスとの接続部分となる集中力プラーがS14とM20で同じということもあり、換装は比較的簡単だったという。なのでハーネスの加工はほとんどしていないが、M3には油温計が入っているため、その配線を追加している。3.追加した油温センサーはオイルフィルター部分のドレンボルトを加工して装着。4.ラジエターも325i用だが、下側のブラケットは325i用が使えなかったためオリジナルで作っている。5.エンジンのマウント位置もS14エンジンとほぼ変わらない。というのはM20エンジンのクロスメンバーがM3にそのまま使え、その逆も可能なためだ。6.排気系は触媒等は325iだがテールピースはM3用を使っている。7.内装はダッシュやメーターを除き、愛着のあった325iからすべて移植している。そう、ドナーとなった325iはオーナーのもう一台の愛車だったのだ。8.後席も325iから移植しているため3人掛けだ。9.車検も改で取得済みだから安心して乗れる。 | ||
メーターにはこだわりの インジケーターを装備!! |
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325iからM20エンジンをM3ヘコンバートするにあたって、オーナーから幾つかの要望ありました。AT用のインジケ一夕ーをつくり、シフトまわりはMT風にして欲しいというのもそのひとつ。それに対してアクティブカーズの小川代表がだした答えは、メーター左下にある警告灯のスペースをインジケーターとするものでした。それはペースとなるM3の帯状の表示部分を切り、そこにE24のインジケ一夕ーとして使われていたものをやはり切り出してはめ込んで作るという手の込んだもので、そこの部分の照明には省電力のLEDを使用しています。加えて、メーター右側の表示部も、本来はブレーキフルードの警告灯があるところに、ミッションのエマジェンシープログラムを知らせる警告灯を、325iのメーターからやはり切り出して移植しています。ブレーキフルードの警告灯も重要ではありますが、フルードが減ることはあまりない上に、目視での点検もできることから、他の警告灯の重要度合いから考え、そこと入れ替えることにしたということでした。ともに表示部分は純正品を使い純正っぼく作っているのは小川代表のこだわ り。アクティブカーズでは細かい部分であっても妥協することはないのです。 |
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メーターのベースはM3。油温センサーを追加しているため油温計も作動。一見普通のM3のメーターですが・・・ | ||
オートマのエマージェンシープログラムを知らせる警告灯(左から3つめ)は325iのメーターから切りだして移植。 | ||
ここは本来フォクランプの表示があるのだがそこを漬し、ATのインジケーターにカスタムしている。 | ||
ATのシフトまわりはブーツを被せることでMT風にしている。ニュートラル位置だと見た目はマニュアルだ。 | ||
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