雑誌掲載記事 | ||
BMWER(vol.14から引用)#1 | ||
E30M3エンジンコンバートpart2 | ||
アクティブカーズのエンジンコンバートは 純正然とした違和感のない仕上がりが信条 |
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M3のエンジンコンバートは、分解作業が完了し、今はM20を積み込む作業へと移っている。ここまで来れば完成は目前だが、実は、M3の分解が進んだところで、バルクヘッドの奥に錆があることが判明した。その場所は、M3に限らずE30に共通の一番錆びやすい場所。現状はごくわずかな錆で穴が空くような酷いものではないが、そのまま放置すれば将来そうなりかねないことから、オーナーに報告し話し合ったところ、オールペンをやることに落ち着いた。前号でご紹介したように、このM3は、エンジンを載せ換えるだけでなく、愛着のある325から内装を始めとする数々のパーツを移植するほどのオーナーの思いが詰まったクルマである。完成後は長く乗っていきたいことや、丁度エンジンコンバートの最中でオールペンに都合のよい状況ということもあり同時に行うことにしたのだ。もし穴が空いていたとしたら、その処置は鉄板を切った貼ったの溶接を伴う作業となっていたところだ。そうなるとダッシュパネルはおろか、ハーネスからヒューズボックスまですべて外しての大作業を強いられる。長く乗る車両ならば錆の初期で手を打っておくにこしたことはない。ということで完成はちょっと先にお預け。今回は予定を変えて、おそらく皆さんが気にしているであろうことを、小川代表に聞いてみた。それは“M3のS14を下ろしM20を載せてバランスは大丈夫なのか?”ということ。 その間いに対する小川代表の答えは、実に興味深く、納得させらるものだった。小川代表はこう言った。 「エンジンの重量って皆さんは4気筒だから軽いとおっしゃるけれど、M20の方が微妙に軽いんですよ。ほとんど差はない。ただオートマなんで、ミッションの分、重量は増すけれど総重量はさほど変わらないのです。S14を載せたM3はリアが若干重いので逆にバランスは良くなると考えました。搭載するのがM20でなく、535のエンジンだったらダメです。その場合はフロントヘビーです。排気量の大きいM30はエンジン自体大きいですから。でも同じ6気筒でもM20は軽い。今回のコンバートはM20であることがポイントなんです。エンジンのマウント位置についてもS14とほとんど変わりません。なぜそう言えるのかというと、M20のクロスメンバーがそのままM3に使えるということ。その逆もできます。細かいところまで最初にすべて検討し、イケると言う確信があってオーナー様には載せ換えの提案をさせていただきました。4気筒が乗っているM3ですが、そのフレームは元をただせは6気筒ベースですから、悪くなるはずがありません」 本紙読者であればご承知かと思うがアクティブカーズは、不具合を的確に探し、そして的確に直す整備屋である。いわゆるカスタム屋でもなければ、チューニングショップでもない。小川代表が行う仕事は、一見カスタムやチューニングに見えたとしても、そのアプローチはあくまでも整備屋のそれなのだ。力技でただ載せて終わりではなく、その乗り味までも純正然と違和感がないように気をくぼり丁寧な仕事をしている。AT仕様ということで本企画に興味が持てなかった方も、完成後の走りが気になってきたのではあるまいか。 |
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4気筒がのるM3のフレームも元は6気筒がベース。そこに本来の6気筒が乗ってバランスがくずれるとは思えない。奥の325がM20が乗っていた車両。 | ||
M3の下回りのミッションが収まる部分。S14+MTとM20+ATでは長さが 違うがミッションマウント用のボルトはスライドするため無加エで装着できる。 つまりは色んなミッションが・・・ |
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軽いと言われるS14もM20とではエンジン自体微妙にM20の方が軽いそうで、クランクシャフトを比べてもM20の方が軽い。ちなみに下ろしたS14は、アクティブカーズで使って欲しいというオーナーの申し出を受けたこともあり、了解を得てナローボディの320に載せて元気にサーキットを走っている。 | ||
ツインカムのS14とシングルカムのM20。サイドから比べてみるとそのメカニズムの違いによる特徴がよりはっきりし、M20は上が軽いということがよく分かる。 重量、上の軽さからするとM20+MTも面白そうだ。 |
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s14とM20を側面から比較してみた。注目していただきたいのは、エンジンマウントとオイルパンの逃げの位置関係。エンジン自体は6気筒のM20の方が長い訳だが、極力後方に載せられていることがうかがえる。 | ||
エンジン本体と違い ミッション本体の重量差は・・・・・。 |
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M3用マニュアルミッション | ||
M20用オートマチックミッション | ||
ATとMTとではその大きさはまるで違っている。マニュアルの方は、さすがにコンパクト。作業にあたる際もMTは手に持って動かせるそうだが、かたやATの方は持ち上げること自体難しいほどで重両面ではかなり分が悪い。そうしたことから、ミッションを含めたエンジン重量ということでみると、ミッションの違いがS14とM20の重量差になる。ただ、小川代表が本文中で述べていたようにS14+MTのM3はリアが少し重い(フレームが6気筒ベースであることの証なのだろうか!?)ということで、重量バランス的にはM20+ATの方に分があるようだ | ||
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