雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.5から引用)#2 | |
2.3Lの23Sエンジンを2.5L化。 エアフロレスでスポエボに迫る。 |
|
ハードなエンジンチューンも得意とするアクティブカーズでは、 2.5Lへの排気量アップを中心としたメカチューンによって、 スボエボを上回るさらなるハイパワー化を目指す! |
|
2.3Lの23Sエンジンをベースに、250psオーバーを目指してチューニングが進められてきたアクティブカーズのS14エンジンチューニング・プロジェクトだが、いよいよそのエンジンが完成したとの知らせを受け、早速アクティブカーズへと足を運んだ。控え目なルックスのアクティブカーズ小川氏のE30M3のボンネットを開けると、そこには前回は完全に分解されて、部品単位にまでパラされていたあのエンジンが見事に収まっていた。赤い結晶塗装が施されたヘッドカバーに、カーボン製サージタンクがセットされたそのエンジンは、走り出す前から力強い吹け上がりを期待せずにはいられないものだ。いよいよこのエンジンに火を入れて試乗に移る前に、まず簡単にそのチューニング内容をおさらいしておこう。 詳細については前号でもお伝えしたとおり、エンジン本体では日産のVQ35用ピストンを流用し、クランクもスポ工ボ用のロングストロークタイプを用いることで、スポ工ボとほぼ同じ2.5Lへ排気量アップが図られているのが最大のポイントとなる。それに合わせてヘッドまわりでは、燃焼室の容積合わせを含めた形状の最適化やポート研磨などの加工が施され、シュリツク製のハイカムによって高回転域での充填効率を高めるセットが施される。 そして、このエンジンの周囲を固める補器類については、大容量のカーボンサージタンクとグループA仕様工キゾーストマニフォールド、スポエボ純正マフラーによって吸排気の効率を改善。エンジンの制御は、日産純正CPUをべ一スにトラストのサブコン、eマネージによってコントロールすることで、吸気の障害となる純正エアフロを取り去り、さらに点火系もダイレクトイグニッション化によるアップグレードされた。 まさにE30M3オーナーなら誰もが夢見るような理想の仕様に組み上がったエンジンを前に興奮を隠せない我々取材陣だったが、小川氏の顔はなぜか浮かない。だが、その理由は、クルマを走らせるにつれて明らかになってきた。 |
|
「パワーにクラッチが耐えきれず、 最終的なインプレッションは次号にお預け」 |
|
エンジン制御はニッサン純正CPUをベースに、燃調と点火時期の調整はeマネージで行う。 | |
大容量サージタンクを装着したおかげでスペースがきつくなったリザーブは、他車種用に変更。 | |
グループAエンジンを彷彿とさせる大容量サージタンクだが、250psオーバーにはやや役不足か? | |
エンジン回転数のピックアップは、脈動が出やすいクランクではなく、カムから拾う方式に変更。 | |
早速、そのエンジンをスタートし、水温が安定してくると、あれだけのチューンを施したエンジンとは思えないほど、アイドリングは静かで安定していた。このあたりは普段のアシとしてもこのクルマを使っているという小川氏の乗り方に合わせて、あえてカムのオーバーラップを少な目にセットしたことが効いているようだ。クラッチを繋ぎ走り出すと、排気量アップの恩恵は明らかだ。何より低速トルクがふんだんにあることで、強化クラッチを入れていることすら感じさせないほど、あっけなくクルマが滑りだす。 まずは軽く3000rpmほどでギアを上げていったのだが、それだけの回転域でも十分な加速が味わえる。何しろ1気筒あたりの排気量は600cc以上もあるのだから、パンチがないわけがない。低速域での粘り強さを確認すると、いよいよアクセルをいっぱいまで踏み込む。その瞬間のレスポンスは、E30 M3オーナーであれば目を疑わずにはいられないだろう。やはりあの旧式なエアフロに見られるエンジン制御の荒さからか、ノーマルではアクセルをパンッと踏み返したときに、どうしてもワンテンポ遅れてスロットルが開くかのような反応の鈍さが感じられる。まさにその部分が、現代的なエンジン 制御と精密にバランスがとられたメカによって完壁に消し去られ、我々がM3に期待する胸のすくようなレスポンスが実現されていた。 そして、そこから一気にエンジンは吹け上がり、緻密にクリアランスをセットして組まれたエンジンに見られるスムーズな吹け上がりがいつまでも続くかに思われた・‥…。しかし、そこから本当のドラマが始まるはずの6000rpmを超えたあたりから先にもうひと伸びが感じられない。聞けばセッティング時にクラッチが保たず、本当のピーク領域まで煮詰めることができなかったのだという。だが、そこに至るまでのスムーズさと力強さは本物だ。パワー的にも現状ではまだ約230psというところだというので、次回最後の大詰めに期待したい。 |
|
エンジンの回り方は、キッチリとバランスの取れたエンジンに見られるとても緻密なフィールだ。 | |
雑誌掲載記事メニューへ | ←BACK NEXT→ |