雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.7から引用)#2 | |
E30 M3 ブレーキ強化 純正品をうまく組み合わせることで、信頼性と部品供給の面をクリアする。 パワーアップの先に見えてきたのは、ブレーキ容量不足の問題だ。そこで、リーズナブルで信頼性の高いメニューを独自に開発。 |
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ストッビングパワー不足を解消するリーズナブルな方法とは・・・ エンジンの2.5L化+∨プロ制御によって、大幅なパワーアップを実現したアクティブカーズM3だが、新たな課題として浮上してきたのが、増大したパワー に対するストッビングパワーの不足だ。これを手っ取り早く解決するためには、プレンボのGTキットなど、市販のビッグキャリバーキットを装着すればいいのだが、アクティブカーズ小川氏が用意したのは、よりリーズナブルにシステムを構築でき、なおかつ信頼性の高さやメンテナンス性の容易さも両立したメニューだ。 その内容はというと、フロントはE31 840Ci用のフロントキャリパーにE46M3用のローターをセット、リアはポルシェ用のブレンボキャリバーにやはりE46M3用ローターを組み合わせるというもの。今回はリア用が間に合わなかったため、まずはフロントについて詳しく説明しよう。840Ciは、135i以前に対向キャリパーを採用していた数少ない事例で、135i同様、なぜ840Ciに突然対向キャリパーが採用されたのかは不明だが、キャリバー自体はブレンボ製で、ピストン径はF50と同サイズとなるため、容量としては十分だ。何よりナックルとの取り付けボルトのピッチがE30M3と同じため、ボルトオンで装着できるのが素晴らしい。しかも、ホースもそのまま使用でき、パッドセンサーまで活かすことができるのだ。 そして、このキャリパーにジャストサイズなのが、E46M3用ローターだ。840Ci用も合いそうだが、アルミ製のベルハットを持つ2ピース構造のE46M3ローターの方が軽量なため、バネ下の重量増を抑えるためにもこちらが有効だ。こちらも純正部品なので、どこででも補修部品を入手できるのは言うまでもない。ただし、E46M3ローターをそのままセットしても、キャリパーとのセンターが合わないため、アクティブカーズでは専用スペーサーを用意して、キャリバーとキットにして販売する予定だ。パッドに関しては、840Ciの純正品が使用できる他、アクティブカーズでもオリジナルでスポーツタイプと低ダストタイプの2種類を設定している。実はブレーキの容量が上がったことで、低ダストパッドでも十分な制動力が得られるというメリットもある。 |
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フロントの容量アップに合わせて、リア用のアップグレードキットも 開発中だ。 | |
E46M3用のローターは、軽量なアルミ製ベルハットを持つ2ピースタイプだ。熱を持った時にディスクが倒れ込むのを防ぐ効果もある。 | |
キャリパーとローターのセンターを合わせるためのステ一には、ハブセンターを合わせるためのカラーも備えられている。 | |
E30M3に装着されているパッドの摩耗センサーも、実はそのまま使えてしまう。このあたりも純正流用の大きなメリットだ。 | |
ブレーキホースも、純正ホースがそのまま使えるから、すでにステンメッシュタイプなどに変更している場合も無駄にならない。 | |
キャリパーの装着は、ナックルにそのままボルトオンでいける。ブラケットを使わない分、余計なトラブルも防げるというわけだ。 | |
ホイールとのマッチングは、17インチサイズでビッグキャリパー対応が確実で、16インチでもモノによってはいける可能性がありそうだ。 | |
「まずはフロント部分のみが完成」 ブレーキ強化は前後バランスが大事 今回はフロントブレーキだけを容量アップした状態であったが、アンバランスは承知の上で試乗も行ってみた。結果は・・・、急制動を行うと、やはりフロントがすぐにロックしてABSが介入してしまった。ABSが介入すると制動距離も伸び、かえって止まりにくい状態になっていることが分かった。もちろん、この仕様でもフロントパッドの効きをさらに落とし、リアのパッドを初期制動の強いタイプに交換すれば、もう少しバランスが改善するかもしれないが、やはりリアブレーキも容量アップが必須と思われた。ただ、フロントブレーキだけ大きなキャリバーをセットするというのはありがちな仕様なので、ブレーキ強化の際にはぜひとも前後バランスにも気を配ることをおススメしたい。また、ペダルのストロークもかなり深くなっていたことから、マスターシリンダーの容量アップも不可欠だと感じられた。 |
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意外と見落とされがちなスペアタイヤも万全 ビッグキャリパーを装着する際に気をつけたいのが、ホイールとのマッチングだが、実はそれ以上に見落とされがちなのが、スペアタイヤの問題だ。もしものときにスペアタイヤを装着しようとしたら、純正サイズで合わなかったというのでは話にならない。アクティブカーズでは、E46用の17インチスペアタイヤを用意し、そこにスペーサーをセットすることでこの問題をクリアしている。こうした部分にまで気を使ってこそ、プロというもの。 |
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ただ径が大きいだけではキャリパーと干渉してしまうため、25mmスペーサーで逃がしている。 | |
スタッドボルト化した小川氏のクルマでは、スペーサーを予めホイール側にボルト止めしてある。 | |
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