雑誌掲載記事 | |
BMWER(vol.6から引用)#3 | |
2.3Lの23Sエンジンを2.5L化 エアフロレスでスポエボに迫る 2.5Lへの排気量アップを中心としたメカチューンによって、 スポエポを凌駕するパワーを手に入れたACM3。 今後の課題はブレーキまわりだ。 ハイチューンに対応して、より高精度なマネージメントを実現するフルコン化 2.3Lの23Sエンジンをベースに、スポエボを上回るパフォーマンスを目指してチューニングが進められてきたアクティブカーズのE30M3。2.5Lへの排気量アップとフルバランス取り、補器類のセットアップなどによって、いよいよ250psオーバーも目前かと思われていたが、前号では残念ながらクラッチの容量不足から十分にセッティングを煮詰めることができなかった。そこで今回は、新たにクラッチをOS技研製の強化クラッチに変更するとともに、エンジン制御をこれまでのeマネージからHKS製のフルコン、FコンVプロヘと切り替え、最終的なセットアップを行った。 今回、Vプロヘ変更したのは、これまで使用していたホットワイヤ式のエアフロを取り払い、さらに吸気抵抗を低減することで究極の仕様を目指すのが目的。従来のeマネージでは、ノーマルに近い仕様から手軽にステップアップでき、抵抗の大きい純正のフラップ式エアフロからホットワイヤ式エアフロに変更することで吸気抵抗の低減はもちろん、よりきめ細かい制御を可能にするというメリットがあった。コストも抑えることができる上に、ある程度チューニングの知識があれば、A/Fセンサーを装着してDIYでもセッティング変更が楽しめるなど、使い勝手の良さもeマネージの魅力だ。 対する∨プロは、ノーマルDMEベースでも約60万円〜と導入コストがかかるため、誰にでもおススメはできない。しかし、エアフロを取り払い、圧力センサーによって吸入空気量を測定するDジェトロ方式へと変更可能なため、モアパワーを追求するには強力な武器となってくれる。実際、今回の仕様でも、高回転域ではいくら燃料を増やしても、それに見合った空気を吸えないことから、すでにパワーは頭打ちとなっていたのが、∨プロ化によってエアフロを取り払ったことで吸入抵抗が減り、さらなるパワーアップに繋がったという。また、02センサーのフィードバックも生かした仕様とすることで、4000rpmくらいまでの領域なら燃費の悪化も抑えることができる点にも注目したい。 |
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吸気抵抗を軽減 ラジエター脇からダイレクトに走行風を取り込むカーボンインダクションボックスは、これまでと同じものだが、∨プロ化によってエアフロを完全に取り払うことで、さらなる吸気抵抗の低減を実現した。エアフロを外すため、ジョイント部はジャバラホースに変更された。 |
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FコンVプロに換装 2.3L仕様までなら十分にeマネージでも対応可能だが、やはり2.5L化ではより緻密なエンジン制御が可能なフルコンが必要となってくる。今回は、HKS製のフルコン、FコンVプロをセットし、合わせてホットワイヤ式のエアフロも取り外され、Dジェトロ方式へと改められた。 |
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前回も問題点を解消 OS技研の強化クラッチで対応 250psオーバーを目指したアクティブカーズM3に装着したのは、OS技研製の強化クラッチ”スーパーシングルDtype”だ。スーパーシングルでは、独自に設計したダイヤフラムスプリングによって強化クラッチに求められる高いトルク伝達能力を確保しつつ、強化クラッチという言葉から連想される踏力の重さやシビアなクラッチミートといった扱いにくさを徹底して抑えているのが最大の特徴だ。実際、その使い勝手はノーマルと同等に感じられた。 街乗りでの扱いやすさを備えつつ、ハードに走るときにはダイレクトな繋がりも実現した。 |
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road impression 劇的に向上した中回転からの伸び |
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1発ごとの爆発エネルギーが 増したかのごとくみなぎる力強さ 前回の試乗でも、その緻密なエンジンフィールとトルクフルな特性を確認講みのアクティブカーズM3だが、今回はそのエンジン制御を見直すことで、さらなるリファインを実現したということで、早速その実力を試すべく一般道から高速道を中心としたステージで試乗を行った。実のところ、エンジン内部はもちろん補機類などの仕様は前回と全く同じで、エンジンの制御をeマネージからVプロに変えただけということから、さすがほそれほど大きな違いば見られないのではないか、という懸念も少しあったのだが、そんな不安は走り出すとすぐに消し飛ばされてしまった。 完壁なバランス取りが施されたエンジンに見られるスムーズな回転フィールは前回と同じだが、1発ごとの爆発エネルギーが大きくなったかのようなその回り方には、はっきりと力強さが加わっていた。エンジンの発するサウンドも以前の仕様とは明らかに変わっており、回転の高まりとともにアグレッシブさを増すそのサウンドはチューニングエンジンらしい雰囲気がビシビシと伝わってくるものだ。そして何よりも、前回の仕様では高回転からのさらにひと伸びというところでやや頭打ち感があったのが、その不満もきれいに解消され、中速域からの勢いそのままにレブリミットの設定された7500rpmまで一気に吹け上がるようになった。実際、動弁系の軽量化とバルブスプリングの強化が施されたこのエンジンなら、8OOOrpmオーバーも問題なくこなせるはずだが、耐久性も考慮してあえて7500rpmに抑えてあるとのことだった。 また、Vプロ化によって、エアフロを取り外すことができた恩恵は、レスポンスの向上にも表れていた。アクセルオフやパーシャルスロットルから踏み返したときに、クルマが即座に反応してスゥッと前に進んでくれる感覚は、サーキットなどの限界域でクルマをコントロールする際にも大きな武器となってくれそうだ。もちろん、このレスポンスアップにはフライホイールを含めたクラッチの軽量化も大きく貢献しているはずだ。 気になるその動力性能についてだが、Vプロによるリセッティングと合わせて行われたパワーチェックの結果、最高出力260ps、最大トルク30.5kgmというパワー/トルクを実現した。これは目標としていたスポエボの238ps/24.5kgmを大きく上回るのはもちろん、2.5LのNAエンジンとしてもかなり優れたデータだ。ここに至るまでには相当な手間とコストが掛かっていることは間違いないが、これならば十分に満足のいく結果といえよう。何より実際に体感したこのパワーフィールは、ダイナモの数値以上の感激を昧あわせてくれた。 だが、さらなるパフォーマンスアップを追求して止まないアクティブカーズでは、現在さらにこの上を行く仕様も検討しているという。それについての詳細はまた追って紹介する機会もあるかと思うが、差し当たってはパワーアップに対してかなりキャパシティが不足気味となってきたブレーキの強化が目下の課題となっている。こちらについても、アクティブカーズならではのチューニングメニューを計画しているというので、ぜひ次号以降にご期待願いたい。 |
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